アメリカ人事 | 2026年版:401(k)・IRAの拠出限度額が引き上げへ

アメリカ人事 | 2026年版:401(k)・IRAの拠出限度額が引き上げへ

~401(k)は24,500ドル、IRAは7,500ドルに~

2025年11月13日、IRS(米国国税庁)は2026年の退職プランの拠出限度額を発表しました。物価上昇に応じた「コスト・オブ・リビング調整(COLA)」により、多くの退職制度で上限額が引き上げられています。

▼出所
https://www.irs.gov/newsroom/401k-limit-increases-to-24500-for-2026-ira-limit-increases-to-7500

今回の変更内容は IRS の Notice 2025-67 にまとめられており、

  • 401(k)

  • 403(b)

  • 政府系457

  • SIMPLE IRA

  • IRA

  • Roth IRA

  • Saver’s Credit

など、アメリカの主要な退職制度に関わる上限額・所得制限が幅広く更新されました。


【1】一般の401(k)・403(b)・457プランの拠出限度額(2026年)

■ 基本拠出(Employee Contribution)

24,500ドル
(2025年:23,500ドル → 1,000ドル増)

対象:

  • 401(k)

  • 403(b)

  • 政府系457

  • Thrift Savings Plan(TSP)

■ 50歳以上の追加拠出(Catch-up Contribution)

8,000ドル(2025年:7,500ドル)

→ 合計 32,500ドル(24,500+8,000)まで拠出可能。

■ 60歳~63歳限定の“特別キャッチアップ枠”(SECURE 2.0)

11,250ドル(据え置き)

SECURE 2.0 により、
60・61・62・63歳の従業員だけが利用できる特別枠です。


【2】IRA(個人退職勘定)の拠出限度額(2026年)

■ 基本拠出

7,500ドル
(2025年:7,000ドル)

■ 50歳以上のキャッチアップ

1,100ドル(2025年:1,000ドル)


【3】伝統的IRAの所得制限(控除可能額)

2026年:

  • シングル(会社の退職プランに加入):81,000~91,000ドル

  • 夫婦合算(寄付者本人が加入):129,000~149,000ドル

  • 本人が非加入・配偶者が加入:242,000~252,000ドル


【4】Roth IRA の所得制限(2026年)

  • シングル/世帯主:153,000~168,000ドル

  • 夫婦合算:242,000~252,000ドル


【5】SIMPLE IRA の拠出限度額(2026年)

  • 基本拠出:17,000ドル

  • 特別枠(対象SIMPLE IRA):18,100ドル

  • 50歳以上のキャッチアップ:4,000ドル

  • 60〜63歳の特別キャッチアップ:5,250ドル(据え置き)


【6】Saver’s Credit(低・中所得向け節税クレジット)の所得上限(2026年)

  • 夫婦合算:80,500ドル

  • 世帯主:60,375ドル

  • シングル:40,250ドル


【7】Small Business Starter 401(k)

(=小規模企業向けの新しい“簡易401(k)”)

ここからは、従来混同されやすい Small Business Starter 401(k) を独立項目として解説します。

✔ Small Business Starter 401(k) は “普通の401(k)” とは別制度

SECURE 2.0(2022年)で新設された 小規模企業向けの超シンプルな401(k) です。

特徴は以下の通り:

■ 対象企業

  • 従業員100名以下の小規模事業者

  • すでに401(k)などの退職プランがある企業は原則利用不可

■ 拠出限度額(2026年)

Small Business Starter 401(k) の上限は IRA と同額になります。

  • 年間上限:7,500ドル

  • 50歳以上キャッチアップ:1,100ドル

合計:最大 8,600ドル

※一般の401(k)の24,500ドルとは完全に異なる制度

■ Small Business Starter 401(k) の拠出方式(重要)

Small Business Starter 401(k) では、従業員が自由に「月◯ドル」といった個別のドル金額を設定する方式(通常の401(k)方式)は利用できません。

その代わりに、

従業員の拠出は “給与に対する一定割合(パーセンテージ)方式” に統一されます。

  • 例:全員 “給与の3%” をデフォルト拠出として設定

  • 従業員が 3%、4%、5% などの 割合を選択 する形式も可能

  • 給与額が異なるため、実際の拠出金額(ドル)は各従業員で異なります

つまり、「全員同じ“金額”」ではなく、
“拠出方法(パーセンテージ方式)を統一する” というルールです。

これは SECURE 2.0 の制度趣旨である「小規模企業向けの簡易な制度」を満たすための要件で、例えば401(k)プロバイダーの “3%デフォルト方式” は完全に適法 です。

■ 雇用主拠出(マッチング・利益分配)は不可

■ 年次テスト不要・管理が簡単

ADP/ACPテストが不要なため、管理が安く簡単。

■ 今回の Notice に含まれる?

含まれる(IRAと同じ扱いで上限が更新)
ただし 401(k)の24,500ドルに含まれるわけではない。


【8】今回の発表の出典

すべて IRS Notice 2025-67 に掲載されています。


まとめ(要点だけ)

  • 2026年の一般401(k)拠出額は24,500ドル。

  • 50歳以上は最大32,500ドル、60〜63歳は最大11,250ドルの特別枠。

  • IRAは7,500ドル、キャッチアップは1,100ドルに増加。

  • Roth IRA・伝統的IRAの所得制限も上昇。

  • SIMPLE IRAやSaver’s Creditも上限引き上げ。

  • Small Business Starter 401(k)(小規模企業向け401(k))は IRA と同じ上限(7,500ドル)で、24,500ドルの401(k)とは別制度。

     

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