アメリカ人事 | NIKEに調査。EEOCの”アメリカ人ファースト的”摘発に注意
アメリカ人事 | NIKEに調査。EEOCの”アメリカ人ファースト的”摘発に注意

40才未満の男性の白人以外は保護されるグループだ、と言われていたのはトランプ政権以前の話、と言っても過言ではない。
米国の雇用法執行機関であるEEOC(米国雇用機会均等委員会)の enforcement(法執行)姿勢が、これまでとは明らかに異なる局面を迎えている。2026年2月、EEOCがスポーツ用品大手NIKEに対して調査協力を強制するための裁判所申立てを行ったことが大きな話題となっている。これは単なるNIKE個別の事案ではなく、人種・国籍に関わるDEI(多様性・公平性・包含)の進め方が米国で法的リスクと直結する新しいフェーズに入ったことを意味している。
https://www.eeoc.gov/newsroom/eeoc-files-subpoena-enforcement-action-against-nike
また、2025年にはグアムのホテルリゾート運営会社が日系従業員優遇・米国人差別を巡ってEEOCに約140万ドルの和解金を支払った事例もあり、タイトルVII(公民権法第7編)における国籍差別(national origin discrimination)の執行が強まっていることが伺える。
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1. NIKE調査 ― EEOCが調査協力の強制執行を申請
2026年2月4日、EEOCはNIKEに対し、調査に対して十分な協力が得られていないとして、連邦裁判所に召喚状強制執行(subpoena enforcement)を申し立てた。これはEEOCがNIKEのDEI関連の採用・昇進・プログラム情報について法的に情報提出を求めていることを意味している。
• EEOCは、NIKEが設定していた数値目標や人材育成プログラムが、結果として特定人種の機会を優遇し、他の人々の機会を阻害している可能性があると見ている。
• この申立ては違法行為の確定ではなく、調査段階であり事実認定はこれからである。
NIKEの件は、DEI施策の「運用(implementation)」のやり方が法令と整合しているかを慎重に検証する必要があることを示している。
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2. グアムの事例 ― National Origin(国籍)差別による和解
2025年2月、EEOCはグアムを拠点とするホテル・リゾート運営会社に対して、国籍差別(national origin)を理由に訴訟を提起し、その後和解が成立した。内容は次の通りである:
• 会社は、同じ職務を担っていた非日本人従業員(米国人を含む)に対し、日本人従業員よりも不利な賃金・待遇を提供していたとEEOCは主張した。
• 結果として、対象となった従業員に対する金銭的救済として約1,412,500ドル(約140万ドル)を支払う和解に至り、3年間のコンプライアンス監視や研修なども義務付けられた。
• EEOC側は、連邦法(Title VII)が国籍に基づく差別を禁止するものであり、米国人労働者を不当に不利に扱う行為も違法であるという立場を明確にした。
このケースは、単なる人種差別とは異なる「国籍差別」の執行例であり、米国法が「外国人の優遇」も禁止するという点を示している。
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3. EEOCの執行方針は変わっているのか?
EEOCの最新の執行姿勢は、単に人種・国籍問わず全ての労働者に平等な機会を保障することに加え、アメリカ人労働者に対する不当な不利扱いに重点を置く方向性が鮮明になっている。特に2025年以降、以下のようなシグナルが出ている:
• EEOCは、国籍に基づく差別、特にアメリカ人労働者が外国人労働者よりも不利に扱われるケースに対して明確に法執行を行うという姿勢を示している。
• DEIの目的が法的保護の範囲を超え、特定集団の機会を排除するように解釈され得る場合には、その設計や運用が問題視される可能性がある。
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4. 日系企業が注意すべき実務ポイント
● DEI施策の運用基準を明確化する
日系企業がDEI施策を導入する際、単に「目標比率」や「属性限定のプログラム」を掲げるだけではなく、どのように評価・実行されているかを文書化・説明可能にすることが重要である。
例:
• 採用・昇進基準に客観的評価指標を設ける
• 数値目標を「aspirational(志向値)」として位置づけ、達成方法・管理方法を明確にする
• 属性を理由にした直接的な優先措置ではなく、アクセス改善に向けた中立的な施策にする
● 教育・研修・監査プロセスを整備する
DEI施策に関して従業員・管理職向けの適切な研修を定期的に実施し、EEOCに説明可能なドキュメントを保管しておくことが推奨される。
● データ管理と対応計画を準備する
EEOCから要求される可能性のあるデータ・調査回答プロセスの準備は平時から進めておくべきである。米国法務部門との連携体制を構築し、調査対応のシナリオを用意しておくことが望ましい。
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結論
EEOCの最新の動きは、従来のDEI推進の流れとは異なり、「すべての労働者に対する平等な機会の実現」という法執行の本旨に立ち返る局面である。NIKEの件やグアムの和解事例が示すように、米国で事業を展開する企業は、単なる理念や publicity のためのDEI目標設定ではなく、法令遵守・公正な運用プロセスの構築と説明責任の担保が不可欠である。
貴社の米国拠点におけるDEIポリシーのリーガルチェックやコンプライアンス・リスク評価は万全だろうか?
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